最後のお墓参り

妻の叔父さん　その
叔父さんの奥さん　つまりは

妻の義理の叔母さん
ふたりとももうずいぶんな年齢

小さいころから　社会人になっても　結婚が決まったときもそれからも　実の娘のように可愛がってもらってほんとうに　それはもうほんとうにお世話になった　子どものころから今になってもずーっとずーっと　大好きなほんとうに大好きで大切な叔母さん

私は結婚が決まってからのお付き合い　年に一度会うか会わないか　可愛い姪が決めた旦那だからか　もしや私の人徳か　初めて出会ったときから親しくしてもらって　私もこの叔母さんが好きでした

叔父さんはとっても博識で若いころから山登りやゴルフや健脚自慢で　お話好きで話題は豊富で　今もウインドウズ10やプリンターを駆使してゴルフ場が発行する小冊子に寄稿文を頼まれたりと　今もなおしっかりしていて細身で小柄ながら矍鑠（かくしゃく）としていて・・・

さすがに寄る年波　数年前に免許を返納して今は叔母さんとふたりで自転車をこいでは家の近所をぶいぶい鳴らす毎日とか

その叔母さんの記憶力とか思考力とか　ちょっと怪しいなと思ったのはいつのころだったか　それからも御父さんの三回忌やあれやこれやと時々会えば会うたびになんだかますます・・・

三連休の最終日　妻の弟から　叔父さんらがもう年やからお墓参りに帰るのは今年が最後かもって言うてる　都合がええんなら・・・　と連絡があって　幸いこっちも空いてたから一緒に墓参り　そのあと御父さんの遺影の下で極々親しい身内だけでささやかな宴席

一年ぶりくらいかどれくらいか久しぶりの叔母さんはときおり見せる笑顔こそ昔のまま　ずいぶんと痩せていて髪型や着ている服が以前となんか違ってて　話は噛み合わないことが多くちょっとした仕種が少女のようと思ったら次には紙のように表情が消えて・・・

駅まで送ってふたりになった帰り道　妻がため息なんどもため息　大好きだったほんとに世話になった叔母さんがこの前会った時から三段落ちくらいで年老いていました　ハンドルを繰りながら妻の心のうちが伝わってきます

時が進んで行きます　行きつ戻りつものごとが変わっていきます大切なものが失われていきます　ゆるやかに時に加速してかけがえのないものが確かに損なわれていく　それは誰にも止められませんから永遠のものなんてありませんから　そんなこととっくにわかっていながら目の当たりにしてただうろたえる私たち

なんかもう哀しくて　ただただ哀しくて叔父さんが可哀想で　なんかもうほんとになんだか・・・

こんなことだからこの日は犬は留守番　娘は珍しく完全休養日
ずーっと窓際で　ずーっと外を見ながら待ち続けていたんだとか



折しもお彼岸　さて私たちのお墓参りにも行かなくては　ってなことでこの翌日もお出かけ　その帰りちょいと寄り道　一枚だけ予告編







おーい　おかーしゃーん
おーい　おとーしゃーん

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